蒼天の星

十七、エピローグ




 市長は太陽系の辺境、冥王星付近で太陽の方を眺めていた。
 太陽はこのような辺境でもなお、全天で一番明るく輝いていた。大きさも肉眼でわかるほど膨らんでいる。
 市長の執務室の灰色の壁には、数ヶ月前には決して見られなかった赤い光が投げかけられている。壁は灰色がかった気味の悪い赤に変色していた。
 すでにヘリウムフラッシュは終わり、太陽は別の段階へと進化していた。
 冥王星軌道に無事たどり着いた『シティ』は、冥王星から氷資源を得るための準備を整えていた。市長は、机の上に広げられた真新しいスレートで進行状況を確認していた。
――これからが長い道のりになる。
 市長は背後の白鳥の絵を見た。
――作戦『スワン』はまだ完結していない。
 市長はスレートに向かって話した。
「全市民に通達する。われわれ『シティ』は、いずれここから旅立たなくてはならない」
 市民たち全員が言ったことの意味が理解できるほどの間をおいてから、市長は続けた。
「われわれは、故郷へ帰るのだ」
 望遠鏡の観測では、故郷が存在することを示していた。
 どのような状況になっているのかは、ここからは分からない。住めるのか住めないのかも分からない。
 しかし。
 たしかに青い星は存在していた。


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創作時期 July 2001 改稿時期 April 2003

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