02
日常生活

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「俺、最近、同じ様な夢を何度も見るんだ。何か意味があるのだろうか。相談に乗ってくれないか?」
「何を言っているんだ。俺とおまえの仲じゃないか。で、どんな夢なんだ?」
 桂は滝に、夢の中の世界について話し始めた。滝は熱心にその話を聞いていた。
「……というふうに、夢の中なのに頭が冴えていて、目が覚めても覚えているんだ」
「明晰夢だね。いつからだい?」
「一週間位前からかな。その世界がまた凄いんだ。現実と比べられない位、科学が進んでいるんだ。人々は自分のしたい仕事ができ、したくなければそれでいいんだ。あらゆる人がしたくないと思う仕事ム例えば、家事やその他単調な肉体労働ムは、すべて機械がやってくれる。なんと、総理大臣その他の政府職も、機械が行っているんだ。学校も無く、睡眠学習で、必要上最小限の知識が手に入る」
「まるで、君の為に作られた様な世界だな。眠るのが楽しくなるだろう?」
「いや、そうではないんだ」
「なにか、不満なのか?」
「刺激がない。食べ物は、一家に一台は付いている食品合成機で、何でも作る事ができる。けど、旨くないんだ。そして、不味くもない。歯ごたえも無い」
「夢の中での食べ物なんて、別に歯ごたえが無くてもいいじゃないか」
「歯ごたえが無いのは、それだけじゃない。人々の話す話題も、その生活も、道を歩く犬の表情も。世界全体が軟弱なんだ。ただ、慣性だけで動いているみたいなんだ。眠るのが嫌になってくるよ。そして、最近、一番悩ませられているのは、夢の続きを見るということなんだ」
「つまり、前の日見た夢と、その日の夢とがつながっているという事か?」
「そういう事。変だろう?俺の頭はおかしくなりそうだ。毎日毎日、あの夢を見てしまう頭。俺はもう、おかしいのか?」
「そんなことはないよ。俺がそう言っているんだから心配無い。それに、そんなにその夢が嫌なら、破壊すればいいじゃないか。どうせ自分の夢なんだから、壊すのは自分の勝手じゃないか。そうだろ?」
「それもそうだな。滝、今日はありがとな」
「頑張れよ!桂!」
 その夜、桂は周到な作戦を用意して、眠りについた……
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 桂は、桜咲く街道を、カルラと一緒に歩いていた。カルラは、直径十五cm位の球体で、彼の身の回りの事を指示している。
「カル、何故犯罪の報道がされないんだ?」
「犯罪・・・敬介、それは、法に反する事をする事ですか?そうならば、それは、ここ百年起きていません。そもそも、何故そんな『犯罪』なんて古い言葉を使うのかがわかりません。何かあったのですか?敬介」
「いや、別に。聞いてみただけだ」
――やはり、そうだったのか。
 彼らは、中央管理棟に向かった。
「敬ちゃん。こんにちは。いいお天気ね」
「ああ」友人の誰かに声をかけられたが、
 それが誰だか思い出せなかった。
「敬介。生活に対するリクエストなら、中央管理者に言わなくても、私に言って下されば申し込んであげられますよ」
「リクエストなんかじゃない」
 喋りながらどんどん奥に向かっていく。
「では、何ですか?」
「うるさいな!ほっといてくれ」
 中央管理者の前に着いた。
「敬介、脈拍と血圧が高まっています。鎮静剤を打ちますか?」
 その姿は巨大だった。といっても、一つではなかった。一つ上の階から見ると、何百台ものコンピュータが、物静かに活動し、人は一人もいない。桂は、昨日作ったパイプ爆弾を、ポケットから取り出した。
 そして、下の階の中央に投げた。
 閃光が閃き、爆音が轟いた。桂は次々と、あちこちに投げつけ、爆音が轟く。
「やめて下さい!気が狂ったのですか?やめないと、鎮静剤を打ちま……」
 カルラは、急に能力を失い、地面に落ち、砕け散った。
―これで、悪夢からおさらばだ。
 彼の肉体も、爆発で砕け散った。
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 総理達が会合を開いている。
「またか……。仮想現実(VR)と現実とを取り間違う若者が発生したか……」
「肉体を再生しますか?」
「このような人間は、我々の社会には、いらないと思うが」
「性格を強制変更すれば、まだ使えるよ」
「では、多数決を取ろう。」
 投票が行われ、結論が下された。
 彼が目を覚ます事は、二度と無かった。

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創作日 4/25/2000
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